彼と生活したら、感情を失った……(カサンドラ症候群8)
同僚でもあったアスペルガー彼は、「思考」「物事の整理」が苦手だった。
自分で考えて、業務を段取りするとき、
なぜか、女の上司が、ノウハウの答えまで、導き、教えていた。
上司は、彼には甘く、私には、鬼のように厳しかった。
若かったので、家で泣いた。
誰が見ても明白で、職場で恥ずかしかった。
ちなみに、ほかの上司は、まったく逆で、尊重してくれていたものの、
「嫌い」をあからさまに出す上司は、その時期、彼女だけだった。
私と付き合い始めていた彼は、
「A係長(女の上司)って、俺には超やさしいのに、B(私)には超厳しいよね。へへへ」
笑っていた。
そこに触れるのかよ…と思った。
付き合い始めて、
徐々に、
会議用の書類、段どり、マニュアル作りまで、
彼が私にチェックしてもらおうとする体制ができた。
メールが一日に1件から5件届き、
方法を教えるメールを返信していた。
しかし、先に気にしておかないと、ダイナミックなトラブルを起こすので、
二人分の思考という状態になり、
私は、あたまがいっぱいいっぱいだった。
隣の席の彼は、人にもらった食べ物を机の奥にしまって、
腐らせたり、机の周りがゴチャゴチャで、物をなくさないのか、気にしながら、過ごしていた。
常に一緒にいるから、彼をどう思っているか、よく味わう機会もなく、
来る仕事に、せっせと対応していた。
しかし、私がフォローして代わりに作ったものをベタ打ちしていく彼は、
温和そうで、的確に仕事をしているように見えたので、
周りの評価は上がっていったように思う。
忙しくて、黙認しなければ、、、と思っていた。
カリカリしながら働く私をサポートするいい人というイメージを
彼自身は気に入って、なるべく、「合わせてあげてます」というパフォーマンスをしていた。
そのため、
あざとい点が目出ち、発達障害かも?という視点はなかった。
彼自身も自覚していて、
「自分は、君にないあざとさがあるから、協力してやっていける」というような内容を私に繰り返していた。
(つづく)
自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書 [ 篠原信 ]
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